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2005年10月07日

円周率πを200桁まで覚えた

単語帳を作って単語を覚えるという話に絡んで、ふと「記憶術」のことを思い出した。1年ほど前に買った記憶術の本を引っ張り出してみた。速読法で有名な「栗田式」というヤツで、一部では自己啓発系教祖と見なされている人の本。

で、ストーリーを映像化して思い浮かべる方法を自分なりにアレンジして試したら、いきなり円周率πを200桁まで覚えられてしまった。驚き。ついでに、いつもうろ覚えだったクレジットカードの番号も覚えた(って16桁しかないけど)。会社の電話番号も覚えた。今まで自分の家の電話番号さえ覚えられなかったのに。

これ、方法さえわかれば、たぶん誰にでもできることで、πなら1000桁ぐらいは余裕で覚えられるんじゃないかと思う。よく考えてみれば、もともと人間の記憶力は1000桁の数字どころじゃない、もっとずっと大きなキャパを持っている。たとえば映画を見れば、たいていは順序だててストーリーやセリフの概要を覚えているものだし、ディテールの小道具も覚えているもの。そのひとつひとつの「場所」「人」「表情」「コトバ」「モノ」が2桁の数字に対応しているとしたら、1本映画をみたら、数千桁の数字は覚えている計算になる。要するに対応ルールを明確に記憶して、数字とモノの対応をとっさに変換できるように練習すればいいだけのこと。

ぼくが使った記憶術は簡単。まず、00~99までの2桁の数字とモノの対応表を作る。00(もも)、01(レイ)、02(鬼)……、62(ロープ)、63(ムーミン)、64(虫)などと割り当てていく。

で、たとえば「木から垂れ下がったロープにぶら下がったムーミンが首にレイを下げている。落っこちて尻餅をつく。ふと見るとおしりの下に虫がいた」という映像を思い浮かべる。これが62630164という8桁に対応する。このとき、映画監督になったつもりでパンだのズームだののカメラワークを使うと多少ストーリーに無理があっても順序を自由に変えられる。たとえば、レイが画面いっぱいに大写しになっているところからカメラをズームアウトさせて、「あっ、ムーミンだ」という感じの映像にすれば、0163と順序を変えられる。というようにして、短い映像の流れをどんどん作って、それを章立てっぽくつなぐ別のメタストーリーを作れば、いくらでも桁を増やせる。ストーリー同士は全部一連の流れにしてしまってもいいのだろうけど、とりあえずぼくは10桁おきに「場所」に関連づけることにしてみた。すると、それらの場所を順々に記憶のなかで歩いていき(時には蠅になって飛んだり、オウムになって地球から月に飛んだりもする)、それぞれの場所に登場する人物やモノを思い浮かべると、すんなりとその10桁が出てくる。

中世ヨーロッパで記録に残っている記憶術の達人は、記憶の配置にニョタイの映像を使っていたというのを読んだことがある。破廉恥でエロいことをストーリーにして想像すると、より記憶が鮮明になるという。すでにぼくの円周率はエロいシーンを含んでいるし、そもそも全体に突拍子もないシーンの連続で、ちょうど夢のように脈絡がない。ところが、これがすいすい覚えられるし、少し反芻しているうちに、ぜんぜん忘れる気がしなくなってくる。

やってみてわかったけど、特にストーリー性がなくても、ただカメラワークによるシーンの流れだけを思い浮かべれば、覚えるのはそんなに難しくないらしい。たとえば、円周率の50桁目から始まる6939937510という10個の数字列は、こんな感じ。「牧草地で革ジャンを着て歌ってるプレスリー(ロック歌手(69))から映像がスタートして、カメラはずーっと横へ移動。するとロック歌手は柵(39)の中で歌っていたことがわかる。続いて柵にズームすると、木でできた柵には、なぜか雑草が生えている(草:93)。その雑草に軟膏(75)を塗ってやる。葉っぱがテラテラと光っている。柵からふと目をそらして横を見ると、岩が(10)がある」。最後の部分の岩の登場には全然なんの必然性も関連性もないけど、これで十分、柵→草(ぬめぬめ光る)→岩と思い出せる。

00~99までの表を作るのにかかった時間が30分ほど。これが意外にタイヘン。形容詞や抽象名詞、固有名詞を避け、自分に親しみのある具体的なモノにする。数字の読み方もあまり広げすぎないように制限する。混同しそうな重複(虫とミミズとか)も取り除く。

で、歩いたり、電車に揺られながらストーリーを考えたり反芻したりするのに1時間。それだけで、ほとんど労力なしで、あっさり100桁前後の数字を覚えられた。電車の中でみかけた広告の電話番号まで鮮明に覚えている。さらに、晩ご飯を食べながら、もう100桁覚えた。時間がかかるのは妥当なストーリーやカメラアングルを考える作業で、覚えるの自体は何の労力も要らない。ただ何度か映像を反芻するだけ。

100~200桁目までのストーリーは、なぜか月面を舞台に展開されている。月面で博士の部屋で鯉にハムをあげて、通りのパレードをみて質屋に行き、ローマ人になって空港でご飯を食べ、空港内にある病院にはいって……、という感じで数十桁。

やっぱり「記憶術」には、それなりに根拠があるし、自分なりに工夫して習得する価値があるように思える。πを覚えたってしょうがないけど、覚えておくといいことって、いっぱいあるしなぁ。本を読んでいてよく思うけど、論旨の流れを、ツリー状に整理して記憶したい。よどみなく本のポイントを滔々と反復できるような能力は、ひょっとして記憶力というより、記憶術の範疇なのじゃないだろうか。無意味な数字に無意味な映像をくっつけて覚えられるぐらいだから、意味のある論理に無意味な映像を割り当てて覚えて何も悪いことはないようにも思える。

本当に魔法にように簡単に覚えられるので、πは1000桁ぐらいまで覚えてみようかという気になってきた。1週間もあれば1000桁はいけそう。

円周率暗唱系のホームページを眺めてみると(インターネットには何でもあるなぁ……、というか、世の中にはいろんな人がいるもんだ)、どうやらπの暗唱法でメジャーなのは物語式でコトバの語呂合わせが主流らしい。このあいだ8万桁の世界記録を打ち立てた原口さんも「さあ安心得んと(3.1415)国元去った(926535)」とやったらしい。でも、これって音と数字の対応に恣意性がありすぎて、数列とストーリーの変換効率が悪いし、再現時のエラー率を抑える工夫(力わざ?)が必要じゃないのかしら。すごくムダが多いように思える。

ただただ数字を覚える「無連想方式」にいたっては、まったく駄目だと思う。ぼくは子どものころに覚えた30桁は無連想方式で今でもスラスラと再現できるけど、ただただ覚えるという方法は子どもにしかできないし、子どもでも100桁前後が限度っぽい。

投稿者 ken : 2005年10月07日 23:34

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コメント

来週木曜日(20日)に、ヨーカを改め、
「ハツカ会」 がありますんで、よかったら来てよ。
奥さんも。

投稿者 大江和弘 : 2005年10月13日 18:27

あ、来週の木曜は珍しく夜に予定が……。
みんな職場近いんだし、またそのうち
さくっとメシでも。

投稿者 西村 : 2005年10月14日 12:22