2004/10/01(Fri)
生涯ナンバー
早起きしたので、久しぶりにプールで泳ごうと千駄ヶ谷へ。台風がすぎてから、ここ2日ほど、東京はすさまじくさわやかないい天気。天気がいいので、泳ぐ前に少しだけ屋外でボールを投げようと、体育館前でジャグリングの練習。
10分ぐらいと思ったのに、気づけば2時間も投げていた……。平日の昼間っからTシャツでジャグリングの練習をしているぼくって、何かマチガッテルように思えてこなくもない。いえ、それでもほぼ定時出社なのですが。
ふだん天井の高さの限界のために練習できない、6以上の高さ(というのは、6個のボールを投げるときの高さ。パターンによっては6個以下でも必要な投げ方)を、あれこれやってみるものの、実は天井を超える高さは、スローの正確さが低すぎてほとんど練習にならないことを発見、というか再確認……。がっかり。4ボールシャワーは、少し高めのほうがリズムが遅くなって安定すると思ったけど、実際は逆で、リズムが狂ったように速くなってでも、低めのほうが続けやすいらしい。
逆に言えば、やっぱり高いボールを、ふだんからもっと練習しないとダメな気もしてくる。うーん、どうなんだろうか。
たいがいの人は無関心に見るともなしに見て足も止めないけど(こっちも人目が平気になってきた)、5個ボールをボトボト落としながら練習してたら、かろうじて十数キャッチ続いたようなときに、女子高生たちに拍手された。ジャグリング始めてよかった。 4個ボールを投げてたら、60歳ぐらいのおばさんが、「お上手ね。がんばって」と缶コーヒーとあんパンをくれた。ジャグリング始めて……、よかったのかどうか。
インターネットでジャグリングの情報はいくらでも手に入る。ジャグリングについて情報を集めるというと、今までは動画とか動きの説明に関するものが主体だったけど、もう見るべきものはだいぶ見てしまった感じもあるので、最近はジャグリングの理論面やメンタルな説明、体験談やエッセーのほうがおもしろく感じられる。掲示板のやりとりも楽しい。
juggling.orgにある動画は、画質が低くて見るに堪えない。だから、これはロクなサイトじゃないと思って、あんまりマジメに見てなかったけど、“Juggling Information Service”というその名が示すとおり、文章系の情報には、とても有用なものがある。ジャグリングを始めた人たちが知りたいと思う体験談が豊富にある。ぼくのように、ジャグリング仲間がいない孤独なジャグリング入門者には、貴重な情報源だ。
言葉によるアドバイスには、本当にさまざまなものがある。
ぼくが実際に試したおもしろいアドバイス。「ボールが前に飛んでいく傾向を修正するのに、片足立ちをしてみたら、なぜか直った。なぜだか理由はわからない。あるとき同じ悩みを抱えているジャグラーに、そのアドバイスを冗談でしてあげたら、その人も直った。全然根拠もわからないし、これが本当に効くのかもわからないけど、試してみて。試すのはタダだよ」。ジャグリングを始めた人に共通の悩みはボールが前に飛んでいくこと。みんなどんどん前に前にと歩いてしまう。これは人間がモノを投げるときには、ほぼ常に前方に投げる動作だったことから来る生命記憶的(笑)な癖。
ぼくも片足立ちのアドバイスを試してみた。4ボールのファウンテンで左手のボールがやや前方に行きがちだったので、それが直れば拾いものと思った。でも、残念ながら、ぼくには何の効果もなかった。まあ、自分の徘徊癖がいかにひどいかはわかったけど。
入門者ばかりでなく、中級・上級の人たちも悩みがちなのが、「おれは練習方法を間違えてないだろうか?」ということ。自分の進歩が遅いと、何か効率的な練習方法があるのじゃないかと考える。いろんな技を少しずつ練習するのがいいのか、それともある1種類の技に集中するのがいいのか。10分の練習を1日に3度やるのがいいのか、30分を1度やるのがいいのか。パターンが崩れる前の、きれいなパターンを描いている間に投げるのを終了して、正しい軌道のイメージを体得するのがいいのか、最大キャッチ数を目指して多少パターンが崩れても粘る練習をするのがいいのか。利き手と反対の手も含めて左右均等に練習するほうがいいのか。
こうした問題について、科学的な研究成果が1970年ごろから、それなりに蓄積されていて、たとえばMagill, R.A.『Motor Learning: Concepts and Applications』というような本があるらしい。
ジャグリングをやっている人の多くが言ってるけど、自分のことながらトリックの習得過程で不思議なことがたくさん起こる。そもそも上達する、というそのこと自体が不思議と言えば不思議だ。ある技ができるようになってみると、それまでなぜ自分ができなかったのかわからなかったりする。
ホントのところ、ジャグリングの習得って、理屈や練習方法をあれこれ考えたりするのはほとんど無意味じゃないかという気がする。明らかな不自然さの指摘とか、軌道を美しくするためのちょっとしたアドバイスだとか、一般的な練習法についてのアドバイスだとかは意味があるけど、それ以外は、気休めや励ましという以上の意味はなくて、ともかく練習量に比例して上達するということだけが真実じゃないかという気が強くする。ともかく、投げれば投げるほどパターンは安定する。ボールの軌道を安定させる方法は、練習以外になにもない。何ひとつない。
練習で試行錯誤しているうちに、ボールの描くパターンが、あるべき姿に整っていく。その上達プロセスに、意識に上るような「学習」は、さほど関係しないのじゃないか。「ああ、もっと上に投げないと」とか「左手の3つめのボールがやや前方に行き過ぎだ」とかはいちおう思うわけだけど、思ったからといって、すぐには直らない。時間とともにじょじょに直っていくけど、どうしてスローがあるべき力と角度で正確さを増して安定していくのかは、理屈としては、まったく本人にはわからない。
軌道もリズムも、理屈自体は難しくない。複雑で、初めてやるときにワケがわからなくなると言われるミルズ・メスですら、動きの理解自体は、ものの数時間の話だ。
あるパターンを投げてみて、それがおかしいかどうかはわかるし、どうするべきか、少なくともどう修正していくべきかは、少しやれば誰だってわかる。ということは、もうあるのは、練習だけ。
ともかく数をこなすにしたがって、できるようになる。これは語学学習の感触と似ている。ほかの方法に比べて断然効率的な練習方法なんていうのはないし、断然に非効率的な方法というのもない。正しい理論を理解したら、後は練習あるのみ。悩んでも嘆いても怒っても反省してもしょうがない。頭で分析的に考えてもしょうがない。直感的な反省は、無心で練習しているときにも脳のどこかがリアルタイムでやっているものじゃないだろうか。
ともかく数をこなすしかない。むかしダーツを投げていたときに似たような話を聞いたことがあるけど、微妙な運動の調整を行なう脳の処理というのは、感覚器から入力されたデータを過去の似た事例に引き合わせてパターンマッッチングしているだけという。脳みその処理というのは、結局、膨大な統計情報によるパターン認識的なものであって、論理回路のように手続き的なものじゃない。軌道の計算をしたり、微妙な調整をリアルタイムでできるほど、人間の脳は高速な処理に向かない。過去の似た事例を大量に蓄積し、パラレルな比較処理を大量に行なうのが、たぶんミソ。だから、徹底して繰り返しインプットをする必要がある。アウトプットからフィードバックを受ける必要がある。年齢とともに習得速度が落ちるのは、つまり記憶の定着率が落ちているということなんだろう。
インプットを繰り返すと、徐々に徐々にアウトプットに秩序ができてくる。頭(神経)を使う量がどんどん減っていく。ボールの動きが、どんどんクリアにわかるようになり、微妙なコントロールができるようになってくる。視線はボールの頂点付近に固定されていて、すべてのボールを見ているわけじゃないのに、ジャグリングしている複数のボールのそれぞれが、いまどこにいるのかを全体の絵として把握している感触が出てくる。語学でも、頭を使わなくてもセンテンスが口から出てくるようになる。文法は無意識になり、自分が言いたい内容だけを意識できるようになる。ぐちゃぐちゃだったアウトプットに構造ができはじめる。
ジャグリングをやっている人の多くが言ってるけど、ジャグリングは、その習得の過程で、いろんなことをジャグラーに教えてくれる。一見複雑なものをプロセスにばらして根気よく真似るとか、一見不可能に思える動きを、何度も何度も反復練習するとどうなるかとか、そういったことから、習得するとか学ぶということはいったい何なのかということが、自分なりにわかってくる。ピアノ練習の息抜きにジャグリングを勧める人もいるぐらい。それは、ジャグリングは、ピアノの難しい運指なんかに比べると、わりとあっさり「あ、できるようになった」を多く体験できるからだったりする。本当に驚くべきことだけど、人間というのは訓練次第で、およそできそうもないことができちゃうものだと、何度も何度も実感できるのが、ジャグリング中毒者が増えている原因だと思う。
ジャグラーの集う掲示板を眺めていると、中には冷たい人もいる。誰か初心者が質問したり、アドバイスを求めたりすると、にべもなく言い返す。「習得方法を教えてって、おまえなに言ってんだ。こんな掲示板の書き込みを読んでる暇があったら、とにかく投げろ。習得方法はひとつ:練習、練習、練習、練習、練習、、、」。これはやや極端だけど、ある面では真理をついていると思う。初心者はみんな思う。「どうすればできるようになるだろうか。きっと何か方法や秘訣があるに違いない」。ところが、秘訣なんて何もない。動きを理解したら、後はできるようになるまで、ともかく投げて落として拾って投げるのを繰り返す以外に、何の秘密もない。
中学生のとき、兄貴が鉛筆回しをするのを初めて見たとき、ぼくは目を丸くして「どうやるの?」と聞いた。何かのトリックなんだろうと思った。でも、それはトリックでも何でもなく、ただ見たままのことを上手にやっているだけだった。ジャグリングも同じで、実は何のトリックも練習上の秘密もない。ただ、人間に可能と思われる動きを、あるとき誰かが何ヶ月、時には何年もかかって「できる」と証明したものにすぎない。
エッセイを読んでいて、おもしろい発見がひとつ。経験則が、実際に証明されていたらしい。「右手で習得した技術が、練習もしていない左手に転移する」という現象は、実験的に確認されているという。「まずは利き手から」は正しかったし、多くのジャグラーが、この法則に気づいていて、そういうアドバイスをしている。
50歳を過ぎてジャグリングを始めたというDuane Starcherさんが書いた「Juggling Numbers and Age」と題するエッセイが気になる。 40歳を超えてジャグリングを始めた人たちをたくさん見てきたというDuaneさんは、「40歳をすぎてからはじめても、5ボールができるようになる人もいる」としながらも、「より数の多い、エレガントなナンバーズを夢見るなら、その夢は失望に終わる運命にある」と書いている。7つや8つはできるようにはならない。当たり前と言えば当たり前だけど。
数にこだわる“ナンバーズ”では、5個が最初にして最大の壁だとみんな言う。5個ができるようになった人は、1年とか2年、あるいはそれ以上も続く、あまり進歩のない単調でストレスのたまる練習に耐えられる耐性や、自分なりの練習法が身に付くので、6個、7個と進むこともできる。5ボールこそがジャグラーの試金石。
数が増えるにしたがって、難易度は幾何級数的に上がる。いっぽう、身体能力や学習能力は年齢とともに緩やかに下降していく。だから当然どこかに限界がある。その人が生涯で達成できる最大の“ナンバー”は、練習を始めた年齢、才能、練習にさける時間や決意で決まる。
ナンバーズに取り憑かれた人たちは、お墓に書かれる文句が「ここに5ボールジャグラー眠る」というのでは満足しない。なんとか死ぬまでには6個を投げたい、7個を……、と思いながら、日々ボールを空中に投げることになる。
現存するジャグラーで、もっとも多くのボールを操るジャグラーの一人、アンソニー・ガットーという人は9個で110キャッチという世界記録を持っている。11個や12個にも世界記録があるけど、キャッチ数からすると、このへんはもう「投げあげて、ぜんぶ受け取れた」という感じだから(それでもすごいけど)、人間がジャグリングできる最大のボール数は、どうも9個か10個あたりに限界があるようだ。もちろん、9個投げれるガットーは、ジャグラーの間では生きる伝説のようなスゴイ人だから、あんまり参考にならない。ふつう、 6個投げれたらジャグラーたちの尊敬を集めるようだし、7個を安定して投げられると、たぶん日本トップの人たちと対決できる。というか、豪華客船のショーオーディションにラクに合格できるレベルだと、ジェイソン・ガーフィールドという、これまたトップ・ジャグラーのひとりが言っていた。
ぼくの生涯ナンバーは、いくつだろうか。もう5ボールには完全に取り憑かれているので、いずれ5は投げれるようになりそうだけど、そこで十分と感じる可能性が高い。5個と6個の巨大な違いを知っているのはジャグラーだけで、ふつうの人にとっては、5も6も「たくさんのボールが宙を舞ってる……、すごい」と、どっちも同じ。
お客さんの拍手が増えるようにと、1個でも多くのボールを投げられるようにと一生懸命練習して、やっとできるようになったと喜んでみても、6個でも7個でもお客さんの拍手は、3つのトリックのときとあんまり変わらなかった、というようなことを、あのピーター・フランクルも言っている。
2004/10/07(Thu)
一輪車は難しかったかなぁ
このところ時間があればジャグリングの練習をしてばっかりで、ぜんぜんプールに足が向かない。今日は久しぶり、実に17日ぶりのプール。仕事がバタバタしてくると泳ぎたくなるという、いつものパターン。忙しいと、むしろ無理をしてでもプールに行きたくなる。「忙しい」ということを理由に何かをやらないでいると、その何かは永遠に遠のいていってしまうという強迫観念のようなものを持っているからだと思う。
似たような話かもしれないけど、こんなことがある。石原慎太郎が「30歳を過ぎると男は走り出すよナァ」(「ナァ」はあくまでカタカナ)と、どこかで天気予報士の石原良純に向かって言っていた。「走る」というのは、がむしゃらに仕事に打ち込むようになるとか、寒いだじゃれが止まらなくなるとか、そういう比喩的な意味じゃなくて、文字通りジョギングするようになるという意味。まあ、けっこうそういうことってあるかもなと思う。20歳ぐらいまで、それなりに運動していた人が、仕事が忙しいだの二日酔いだので運動全般から離れてしまって、これはやばいと気づくのがちょうど30歳ぐらいという年齢なのかもしれない。オレはまだまだ若いんだという思い違いが必要になる年齢が30歳ということかもしれない。
やらないとまずいと思ってやるという面もあるんだけど、運動って、続けてみると楽しいし、ご飯もおいしくなるし、体調もよくなるし、何より何か動物として「正しい」ことをやってる感じがして精神衛生上すごくいい。不思議なことに身体的エネルギーって、使えば使うほどわき出してくるようなところがあるし、身体的エネルギーというのは、どっかで精神的エネルギーとも源泉を同じくしているような印象がある。肉体活動が低調で精神だけ高揚するということは、ないんじゃないだろうか。
rec.jugglingで5ボールカスケードと年齢の関係についての議論を眺める(今でもまだUSENETを見てる人っているんだな)。18歳を越えた大人であれば、実は年齢による差は、あんまりないという話らしい。ただし、それよりも若い人たちは、恐ろしいスピードでジャグリングを習得するものらしい。
その掲示板で、30歳後半の人が「一輪車に乗れるようになるほうが、5ボールのジャグリングよりよっぽどむずい。永遠に乗れない気がするよ!」と言っていた。やっぱり年齢なのか! と、ちょっとショック。
確かに竹馬なんかの同類の遊び道具に比べると、はるかに難しかった記憶はあるけど、1日2時間ぐらいの練習を2、3週間ぐらい続けた程度で、ぼくは一輪車に乗れるようになったように思う。13歳ぐらいだったか、ともかく10代前半だった。
最初のひとこぎが踏み出せるようになるまでに数日かかった。「こりゃむずい」と思った。その次の6、7こぎという段階が1週間ぐらい続いた。一輪車は、ぼくへの誕生日プレゼントだったこともあって、うちの兄貴は、ここらへんで飽きてしまった。ぼくはその後も練習を続けて、2週間ほどしたある時、すーっと走り出せた。
子どもだったぼくは比較的すんなりイケたけど、大人になって一輪車に出会った人が、数ヶ月間、6、7こぎの段階で止まってしまうということは大いにありえる。子どもには少しの練習でできることが、大人には絶望的に難しい。これって、ジャグリングの5個や6個ボールの話にも通じるんじゃないだろうか。ぼくの主観では、一輪車はジャグリングより遙かにカンタンだけど、それは出会った順番の問題で、実は一般的には一輪車に乗ることは、5ボールジャグリングぐらいには難しいことだったのかもしれない。
深夜の夜食は今日もラーメン。写真は本文と関係ありません。
 | 通勤路。いつも80kmぐらいで走り抜ける場所で、六本木のトンネルを抜けるとヒルズが目前に迫る。防音の透明な覆いが高速に背後に飛び去っていく感じが好き。 |
2004/10/10(Sun)
はじめてのクラブ。シガーはじめました
台風一過の秋晴れ、というほどの天気ではないけど、大雨、大風は去り、うす曇りの東京。涼しくて体育の日的な爽やかさ。今日はずっと楽しみにしていた、ジャグリングショップ「ナランハ」のジャグリング祭りに参加。こういう日だと早起きもできる。
そろそろ、ボール以外にも手を出してみるかと思っていたので、ワークショップにいくつか参加。まずひとつ目は、「はじめてのクラブ」。せめて体験ぐりいしてみるのもいいだろうってことで。
 | 買ってしまった、クラブ4本。1本4200円ほどするので、それなりのお値段。 |
どのタイミングでどの方向からキャッチしても、球体に違いないというボールと違い、クラブは落ちて来るある瞬間だけしかキャッチが許されない。スローにしても、適正な回転速度を正しい角度で投げないと、パターンが崩れるので、ボールよりもずっと難しい。ボールが5個投げられる人でもクラブは3本だけという人がいるぐらい、クラブは難しい。
いつもビデオで演技を見ている中嶋さん指導のもと、ワークショップ「はじめてのクラブ」。参加者は20人ほど。十歳ぐらいの女の子から、上は推定40歳ぐらいのおじさんまで。中心は、15歳前後の中学生たちといった感じ。
1本、2本と順番に動きとキャッチの仕方を教わりながら、1時間ほど練習。想像以上にむずい。結局、3クラブカスケードはできないまま、ワークショップは終了。まあ、クラブを買って練習する決心はついたということで。クラブジャグリングは、投げあげ系ジャグリングの帝王という感じだし、男の子ならクラブも投げるよなって。
クラブの練習が終ると、あんまり参加する気のなかったワークショップ「はじめてのシガーボックス」が始まった。やっぱり目の前で始まってみると、やってみるかという気になって、たて続けにワークショップ参加。
 | シガーボックスのワークショップ。みんな初めてでもうまい。 |
基本となる回転わざとか、持ち替えとか、中抜きといった技を、みんなでひとつずつやりながら進めて行く。シガーボックスって、1時間の練習でも、人に見せられそうな技がいくつもできてしまうものらしい。さすがに、参加した人はみんな、そもそもジャグリングをやろうなんて言う人たちだからなのか、わりとスイスイとできる。ボール以上に見た目の完成度が命だから、かなり練習は必要だろうけど、とっつきはよさそう。ぼくの印象ではシガーボックスはマジシャンと親和性が高くて、ジャグリングというよりも大道芸っぽい。で、奥深くまで追求している人が少ない。みんなボールやクラブの合間にちょこっと練習して息抜きにやる、という感じらしい。
 | シガーボックスも入門書とともに買ってしまった。1箱3200円ほど。原価を考えると高いけど、まあ安い遊び。 |
お店の白いボールで少し練習してみたら、ふだんぼくが使っている色の派手なボールたちよりも、握った感触がほどよく柔らかく、しかも若干おおきくてつかみやすく感じられる。まったく同じ商品のはずなのに……。なんだか急に軌道が安定して、しかもボールがよりはっきり認識できるような気がする。で、「できるようになる気がする」という理由で白いビーンバッグを、5個ほど追加購入。上手なジャグラーはみんな単色を使い、2色や4色が混ざった派手なボールを使っているのは実は初心者だということも、最近わかってきたので(ほんとか?)、「そろそろぼくも白を5個にしたい」という感じ。今日はやや神が降臨して、5ボールカスケードで17キャッチを達成。あとちょっとで20だ。今日は外で練習したからか、4シャワーも17キャッチと自己記録。
 | どんどんボールが増殖中。たぶん30個は超えている。うれしい。 |
いつもビデオで見ている中嶋さんに「ミルズ・メスを見ていただけませんか。どうもキレイにいかないんです」と言ったら、快くアドバイスをしてくれて、「33歳ではじめられて、それだけ軌道がキレイなら十分ですよ」と言ってもらえた。しかし、やっぱり年齢が関係あるのかしら……。続いて5ボールもアドバイスを下さいと見てもらったら「いいですね、キレイに投げられてます。投げられない理由は、投げてる時間がまだ少ないというだけです。もうあとは練習してください」と、ありがたい言葉を頂戴した。別の店員さんに聞いたら、「いま2ヵ月ほどですか、じゃああと9ヵ月ぐらい投げて下さい」とさらっと言われた。そのぐらいのつもりでやらないと、やってられないという話らしい。
その他、ディアボロをのぞいてデビススティックもメテオも初体験。やっぱりいまひとつピンと来ない、心を惹かれない。まあ、あれこれ手を出しすぎても時間もないし、またの機会に。
簡単そうだし、若干やってみたいかなと思ったのがカップスタッキング。12個のカップを高速に積み上げたり崩したりするヤツ。
 | カップスタッキング。アメリカで盛んにやられている遊びだけど、上手な人の手捌を見てると、コマ落しの映像のよう。 |
15時ぐらいで切り上げるつもりだったのに、結局、19時過ぎまで、あれこれ投げたり、あちこちから集まったジャグラーと話し込んだり。それにしても、やっぱりジャグリングは10代の若い男の子が圧倒的に多い。
道具、合計3万2000円ぶんも買ってしまった……。これで、おそらくジャグリング関係の道具、本、ビデオにトータル5万円ぐらいは使ったことになると思う。むー。
2004/10/14(Thu)
未明のジャグリング
船頭が5人ぐらいいて船が山に登ったり、しばらく姿を見ないなぁと思っていた鶴が、ふいにふた声み声かけてきて、まるっきりやり直しになることが繰り返されたりで仕事が詰まりまくり。
深夜に疲れて帰宅しても、それでもやっぱりジャグリングの練習。何かに取り憑かれたように、ひたすらにタマを投げる。タマを投げ続けることで無心になれる。読経のようなものらしい。だいたい30分から1時間ぐらい、長いと2時間ぐらい、あたりが明るくなるまで投げてしまう。疲れた、眠いと思っていても、運動を始めると目が覚めてしまうもの。
朝刊配達のバイクの音が聞こえると、「やばい」と思う。朝刊配達でやばいと思うのは、ジャグリングを始めるまえから同じことだけど。本を読む時間が減った。
4個や5個の数の多いジャグリングは、けっこう激しい運動で、ムキになると息も切れてくる。Tシャツがぐっしょり濡れるほど汗をかき、腕はだるくなり、肩も痛くなる。
疲れたときの息抜きに、少しパームロールを練習してみることにした。ボールを手のひらに載せてくるくると回すヤツ。中国人ならクルミとか、リンリンと鳴る鈴の入った鉄球でやるところ。
片手なら3個、両手なら3〜6個で、いろんな回し方のパターンがあるけど、とりあえず、左右の手それぞれで順逆(どっちが順かわからんけど)の4パターンで2個をできるだけ滑らかに回す練習からスタート。50回転に要する時間は、だいたい40〜45秒だった。片手3個の回転もやってみたけど、ぎこちなくガツガツぶつかるばかりで、1分間に5〜6回転がやっと。ボールが大きすぎるんだろうか? 摩擦の小さいクリスタルボールを使えばもうちょっとスムーズに回せるだろうけど、パームロールでボール同士がぶつかるのは、トスジャグリングで言えばドロップするのと同じことだそうだから、たぶんバウンス用のゴムボールで悪いことはない。ボールが互いにふれあわないように3個のボールを回転させられるようになれば(そんな日が来るようには、今のところ思えないけど)、きっと1分間に60回転ぐらいはできるんだろう。というか、このあいだナランハで会った名古屋のジャグラーは、そのぐらいの勢いで3ボールをぐるんぐるん手のひらで回してた。
上手な人のパームロールでは、指がムカデの足のように異様に滑らかに動く。それを見ると、たいていの人は「キモチ悪い」という。むかーしむかしに横浜の山下公園で見た大道芸人は「みなさんね、キモチ悪いというんだけど、やってるほうはね、キモチいいんですよ!」と言っていた。ぼくも「キショクわるーい!」と言われてみたい。
今日は、ミルズ・メス・フェイクをはじめてやってみた。ミルズ・メスが一瞬空間中に静止して、急に反転をはじめるような印象的なパターン。ゆっくりとスローでビデオを2度、3度と見て、やっと意味がわかった。これは423の動きだった。2のボールの動きを、いかに「いかにも投げそうで投げない」に見せるかがミソらしい。やってみたら一応できたけど、ミルズ・メスそのものがまだせいぜい5往復程度でドロップしてしまう不安定さだから、今ひとつ。うーん。
さらに今日は、52521(マウンテン)をはじめてやってみた。3シャワーや4シャワーの練習のおかげだと思うけど、すぐにできるようになった。で、パターンがきれいになるにつれ、急激に何か決定的な問題が解決されていくような感触を得た。これは5の連続スローを手に覚えさせるのに良さそうだ。やっぱり世間で言われている練習方法というのは、だいたい当たっている。5ボールカスケードを習得したければ、52521、50505、55500、552、5551あたりは、どれもやってみる価値があるような気がする。52521ができるようになってみると、明らかにその影響で552も少し続くようになった。52521は、552の簡単バージョンといった雰囲気だから、52521から攻めるのは効率が良さそうだ。で、552と55555の往復数は、どうも強い相関を持っていそうだから、552が美しく続くようになれば、きっと55555も、それに比例して続くようになるはず。結局、51→52521→552をやりつつ、55500→5551をやり、さらに50505もやっていけばいいのじゃないかと思えてきた。というか、これは先人の多くが言ってることと違わないじゃないか。
juggling.orgで読んだエッセイによると、同じひとつのパターンを長時間練習するよりも、様々な似通ったものを細切れに練習するほうが、けっきょくは習得速度が速いということが実験的に示されているという。自覚としても、ずっと同じことをやってると何も改善される感じがせず、ただ失敗するパターンを練習しているような錯覚を覚える。これは惨めな感覚だ。それに対して、何かいままでやったことのないことをやると、急激に問題点がわかり、それがみるみる解決されていくのがわかる。考えることが解決につながる。
短期的、あるいは瞬間的に現れる外見上の上達と、中長期的なほんとうの上達(脳の学習)は、必ずしも直接的に関係はしていないという。学習曲線のプラトーは、学習が停滞しているというよりは、学習効果が表面に出てきていないだけと見るべきなんだろう。多くの技術が関連する複合的な技術では、表面的なパフォーマンス能力は直線的に伸びていかない。
いろいろと取り混ぜて少しずつ全体的に攻めるのがいちばん効果的に思えてきた。自分がラクにできるワザと同程度の難易度のワザは、じつは初めてのトライでも数分でできてしまうもの。ということは、結局はジャグリングの習得というのは、個別のトリックの習得を目指すのはむしろ遠回りで、似通ったもの、同程度の難易度のものを一斉に攻めて相乗効果でスキルを伸ばすのが正解なんじゃないだろうか。
2004/10/18(Mon)
心の空気、お入れします
免許の更新。誕生日の前後で60日間も更新期間はあったはず。「忙しかった」と言えるほど何をやっていたのかリストアップしてみろと言われると返す言葉もない。ぎりぎりあと1日を残して、ようやく、更新のために江東運転免許試験場へ。いい天気。
バイクがパンク中なので、同居人のスクーターを借りる。久しぶりのスクーター。数年ぶりなので、どうも感覚が思い出せない。減速時に思わず左手がクラッチ操作をしてしまう。原付以外のバイクは、いまだにギア変則というものがあって、左がクラッチ操作になっているけど、原付では左手レバーもブレーキ。だから、クラッチを切ったつもりで、いきなりブレーキをかけてしまっりで、ちょっとビビる。スピードも、どんなにがんばっても60キロしか出ないので怖い。
午前11時までの受付に滑り込みでセーフ。ものすごい数の人が3列に並んでいる。いったいどれだけ待たされることになるのだろうかと思ったら、予想に反して、超スムーズな処理。日本の役所関係の事務処理って、異様に速いよ。杓子定規な対応にむっとすることも多いけど、この高効率って世界に誇れるものがあると思う。
そういえば、都内の警視庁管轄の場合、その場でのデジカメ撮影で即日(たぶん30分ぐらい)で免許を発行してくれるけど、神奈川県だといまだに写真を持参しろとか言われて、しかも更新した免許は郵送で受け取ることになるという違いがあるらしい。
違反者講習、2時間。ぽかぽかと暖かい日差しを浴びながら、学習机に座って前を向けば、眠くならないほうがどうかしている。ややウトウトしたり、講師の話にぴくりと反応したりしながら、読書。
ぴくりと反応した話。
●若者の死亡者が過去5年で3分の1に激減
過去数年、減少傾向にある事故死亡者数の統計をよく見ると、減っているのは「16〜24歳」の年齢層。かつて年間3000人以上死んでいたのが、いまではなんと3分の1の1000人前後。ほかの年齢層では、お年寄りの死亡者数がぐんぐん増えている。これは人口構成比の変化だけで説明できる以上のもののように思えるけど、いったいこれは何を示してるんだ? 思わず手を挙げて質問しようとしたけど、あまりに講習と無関係なので後でググることに。
●高速道路でのバイク2人乗り、首都高は例外に!?
2004年6月に可決されたバイクでの高速道路2人乗り規制の撤廃は2005年春にも施行されそう。ところが、首都高は「特殊道路」という区分で高速道路とは異なるため、今のところ例外になる可能性もあるという話。
●ヒヤリハット10回に1度は事故に
ひやりとしたり、はっとする「事故直前」の体験を「ヒヤリハット」とか呼んでいた。ヘンな用語だけど、考えた人はけっこう偉いと思う。で、このヒヤリハットは交差点の事故記録用のビデオにけっこう録画されていて、その数と実際の事故の比率を調べると、だいたい10:1だったのだとか。つまり「ふぅー、やばかった」という体験は事故にならずに済んだ9割のほう。
パンクしたバイクのタイヤに空気を入れるために、カバンに自転車用の空気入れを入れてお出かけ。有楽町、銀座へ。カバンからぴょこたんと空気入れが顔をのぞかせている。なんだか誇らしげ(なぜ?)。頭にタケコプターを付けているような、自分がゼンマイ仕掛けのロボットになってしまったような、そんな気分。デパートのなかを歩いていると、どうも注目されているようで楽しい気分。「心の空気、いっぱいですか? しおれたハートをふくらませます」と聞いて歩きたい気分。
 | かばんに入れた空気入れが顔をのぞかせる。 |
夜、会社で少し仕事をしてから、いざ空気入れ。かなりの勢いで空気を入れても、3分ちょっとでぺったんこ。10分強の道のりだから、3度か4度の空気補給で走れる計算。いざダッシュ!
やっぱり2分ほども走ると空気が抜けてきてハンドルがうまく切れなくなってくる。速度は出したいけど、さすがに空気圧が低く、いつ穴が裂けてもおかしくないタイヤで80km以上出すのは怖い。「もうやばいかも」というたびに、歩道に乗り上げて、空気入れでシュコシュコ。「バイクでも、ああやって空気入れるんだぁ」という周囲の視線を感じながら、汗だくでシュコシュコ。空気圧が上がったのを確認したら、急いで空気入れをカバンに戻してまだダッシュ! しようと思ったら、信号が赤だったりする。プシュー……。
信号待ちの時間が恨めしい。結局、2つほど、そろりそろりと信号無視。4度の空気入れでウチにたどり着けた。
2004/10/21(Thu)
恍惚のバウンスジャグリング
急に思い立ってバウンスジャグリングを30分ほどやってみた。ボールを投げあげる“トス”ジャグリングに対して、“バウンス”ジャグリングはボールを床に投げつけたり、あるいは軽く投げあげてから落としたりして、ともかく床でバウンスさせることで、パターンを作るジャグリング。
バウンスの練習をするには、床は堅くて平たくないとダメだから、意外と場所を選ぶ。うちでできる場所は、きわめて狭くて限られたスペースの洗面所だけ。なぜか洗面所の半分ぐらいの領域だけにコンクリが埋め込まれていて、よくボールが弾む。
バウンス用のゴムボールは、ともかくよく弾む。トスジャグリング用のビーンバッグは柔らかく、落としてもまったく弾みも転がりもしないけど、バウンス用ボールは弾めば弾むほどいいので、子どものときに遊んだ“スーパーボール”のような感じ。だからボール同士がぶつかると、激しく転がっていくし、意外なスピンのために思わぬ方向にバウンスして、弾んでいるボールをしゃがんで拾おうと思うと顔に飛びかかってきたりする。
いままでバウンスを試した感じでは、思ったよりは難しくて3ボールカスケードもままならなかったけど、例によって、軌道とタイミングがどうあるべきかをじっくり観察しながらやったら、だんだんとコツがわかってきた。バウンスジャグリングは、おもに重力の力と床の反発力だけでボールが動き、手はむしろ軌道の水平方向だけを反転させつつ、バウンス時に失われた運動エネルギーを少し与えてやるという感じだから、ほとんど力を使わない。ちょい、ちょい、ちょい、とタイミングよく手を添えてやると、ボールは、あたかも自分たちの意志で勝手にぐるぐると回っているようにリズムよくパターンを描き続ける。人間がやるのは、彼らが気持ちよく回っていられるように、ちょっと手を添える程度というイメージ。ドゥエリングタイムを短くすると、すごく滑らかな動きをする。
10分ほど狭い洗面所で格闘。ボール同士がぶつかると、弾けてお風呂や洗面台に飛んでいくし、歯ブラシやコップが飛び散るし、たいへん。でも、しばらくすると少し安定し、20〜30キャッチ程度は続くようになった。これが……、すごく気持ちいい。恍惚としてくるものがある。来たぞ、来たぞ、ドーパミンラッシュ。
何というか、動きが滑らかで美しい。考えてみれば、バウンスジャグリングは、トスより遙かに自然。トスは落ちてきたボールを静止させ、水平移動させ、また一気に加速させるので、ここには物理法則的にあり得ない動きがある。でも、バウンスは、軌道のほとんどが自然な落下と反射の動きで構成されている。
バウンスでも是非とも5ボールカスケードをしてみたくなった。それがうまく行くと、どんな感じかというと、↓こんな感じ。
それを高速にやると、↓こんな感じ。
さらに同じことが7ボールでもできて、それは↓こんな感じ。
rec.jugglingを見ていたら、ほんの4日ほど前にバウンスの世界記録を3つ塗り替えた人たちがいる。2人で15個のボールをバウンスしてる、↓この動画は圧巻。狂ったようにボールを押しつけ合ってる(?)。
こっち↓の13個のほうなら、だいぶ安心して見てられるか。
記録を出したのはフランス人のVincent BruelとSylvain Garnavaultのコンビ。Sylvainのほうは名前は知らなかったけど、ぼくは勝手に「ウダイ」と名付けてかなりの数の模範演技のビデオをダウンロードして見させてもらっているジャグラー。うまいとは思っていたけど、世界記録を塗り替えられるほどの実力だったのか。Vincentのほうも、7bバウンスから7bトスカスケードに滑らかに移行するビデオを以前見て驚愕したことがあった。すごいやつがいるなぁ。
2004/10/22(Fri)
かけっこで一番になるには
健康診断の結果で、前回C判定だったコレステロールがB判定になった。総コレステロール、正常値が140〜219のところ、236。微妙に超えている。ぼくは善玉コレステロール量もヤケに多いので、あんまり問題ないと言われたことがあるけど、どうなんだろう。まあ同僚は300を超えてるとかいうし、気にするほどの値ではないか。週に2、3度はチャーシュー麺を食い、同じぐらいの頻度でフライドチキンやハンバーガーを食ってるんだから、まあそんなもんだろう。このB判定は「脂質代謝に難あり」というよりは、「脂質摂取量に難あり」という意味なんだろう。
深代千之『運動会で1番になる方法―1ヶ月で足が速くなる股関節活性化ドリル』(アスキー)を立ち読み。いや座り読み。会社の受付に陳列してあったので、打ち合わせスペースで思わず読みふけってしまった。元上司が企画した本なので、ゲラの段階で半分ぐらい読んでいたし、本のポイントはさんざん聞かされていたのだけど、改めて読んでみると発見がいっぱい。ぼく的に気になるのは運動の学習に関する最新の知見や常識。10年前の常識が、現在の非常識ということが起こるのが、運動にまつわるサイエンス。
日本人陸上選手は、ここ10年でアフリカ系アメリカ人についで短距離に強くなった。アテネでがすがすメダルが取れた一因とも言われているけど、日本人スポーツ選手の記録の伸びは、スポーツ・バイオメカニクスという学者たちの研究活動が、その背後にある。10年ぐらい前までほとんど手つかずだったところへ、わーっと研究者が集まってカールルイスのビデオを分析してみたら、それまで言われていた「膝を高く上げる」とか「地面を蹴る」とか、ぜんぜんウソだったことがわかったという。いまスプリンターたちは、そういうのとはまったく違った走り方をしているらしい。
速く走るミソは、足自体にはなくて、むしろ足の付け根の筋肉、股関節あたりを鍛えて、そこを高速に大きく動かすことにあったのだと、そんなことがわかったらしい。さらに言うと、足の動きの速さというのは、なんと走り始めた5歳児でもカールルイスでもほとんど違いがなく、だいたい4〜5歩/秒なんだとか。速く走るのに必要なのは、歩幅(ストライド)を適正にし、できれば股関節の筋力をつけて大きくすること。
そういうバイオメカニクスの研究成果や、あまり知られていない筋肉や骨格、神経と運動の関係の最新の理論を、短距離走を中心に、広く一般に紹介するという本で、とくに子ども達に走る楽しさ、記録を伸ばせる楽しさ、競争する楽しさを知ってもらおうという意図で書かれている。負ける悔しさや勝つ喜びを知ってもらいたいという主張は、悪平等主義批判にもなっていて、ワクワクのないツマラナイものに成り下がった「かけっこ」の復権という感じもある。まだ型にはまっていない子ども達は、股関節のドリル訓練で、めきめき足が速くなるらしい。そして、速くなった子ども達は、口々にかけっこの楽しさを口にするようになるという。自分の子ども時代を振り返ってみてもわかるけど、速く走る指導なんて、ほとんど何もなかったし、むしろ足の速さは先天的なもの以外に何も関係がないとみんなが思っていた。
当然ぼくの関心はジャグリング。ここのところ4ボールや5ボールを投げていて思うのは、筋力が弱いと不利じゃないかということ。ジャグリングにそれなりに真剣に取り組むヒトは、けっこうみんな筋トレをしているし、トップジャグラーにはムキムキのヒトも多い。
で、書いてありますよ、ジャグリングに関係しそうなことも。腕や足を振る速度は、実は筋力(=筋肉の断面積)と無関係。なぜなら筋繊維の収縮速度は、一定だから。強い筋力、太い筋肉があると、より重たいものを動かせるというだけらしい。馬を見ればわかるけど、速く走るために足に筋肉なんていらない。100メートルを3秒で走るチーターの足もか細いもの。必要なのは足を動かす筋肉で、足自体はむしろ骨と皮だけで軽いほうが有利。ということから考えると、ジャグリングで有利なのは、まず同じ角回転速度ならより速いタマが投げ出せる腕が長いヒト。さらに、腕の重さは不利だから、肩にや二の腕に筋力があって、肘から先はがりがりというのがいい。とかいって、まだ身体のできていない中学生や、超でぶっちょのジャグラーもいっぱいいるから、ジャグリングと筋力は、さほど関係がないんだろうなぁ。常識的な話ですが。
その他、気になった話。
- 運動時の筋肉のエネルギー代謝は、7秒、40秒で、2度ほど方式が切り替わる。いわゆる有酸素運動、無酸素運動の違い。40秒ぐらいまでなら、酸素なしの代謝でATPが消費され、このとき副産物として乳酸ができて、これが筋繊維の間にたまると、足が「パンパン」な感じに。
- 速筋、遅筋の比率は遺伝で決まる。ふつうのヒトは50%ずつ。マラソン選手は元々遅筋が多く、さらにトレーニングによって速筋が減る。
- 回遊魚(赤身の魚)は遅筋(赤筋)で、泳ぎ続けることができる。ヒラメのようにたまに機敏に動くだけの奴らは速筋(白筋)。つまり、焼いて食べるとしたら、ぼくはマラソン選手のほうが好みってことだ。
- 速筋は鍛えればすぐに太くなる。トレーニングをやめるとすぐに元に戻る。
- 筋肉痛と肉離れは、基本的に同じこと(!)。
- 筋肉痛は、運動によって筋繊維がささくれ立って傷ついている状態。それを修復するときに筋肉は太くなる。
- 筋肉痛は、よほどひどいときでないかぎり、気にしなくて練習を続けていい。正しい部位の筋肉痛は、練習に効果が出ている証。
- 運動の学習には、とにかく回数をこなして、自分で発見的に「これだ」と思える感覚をつかみ取っていく方法と、正しい運動のイメージに近づけるように、動きを慎重にビルドアップしていく方法の2種類がある(どっちが正しいとは書いてなかった)。
- 女性がいわゆる「オンナ投げ」しかできないのは、子どものころのモノ投げ体験が男に比べて少ないからで、後天的な理由が大きい。
- 階段を上るときに負担がかかるのは、心肺機能。ゆっくりと一定の力を発揮し続ける。むしろ下りのほうでは、足に衝撃が来るために筋力が必要。足腰の弱い老人のためなら、むしろエスカレーターは下りだけを用意すべき。
うーん、ほかにも「へぇ」というようなことがいっぱい書いてあったような気もするけど、えーと、興味のあるヒトは本屋へどうぞ。
朝4時、引っ越し作業で残業していたK氏と御苑のボエムへ。明太子
パスタとティラミス。
2004/10/26(Tue)
3ボールの魅力
一時期あれほど頑張っていた水泳も、すっかりご無沙汰。急に運動不足になって太るんじゃないかと心配していたけど、水泳にかわって夢中になっているジャグリングが、想像以上の運動量のようで、太る気配がないどころか、痩せていっているような気もする。そして、クロールをがんばっていたときと変わらない、常態化した肩と腕の筋肉痛。過去2年ほど、常に肩が痛い。
以前よりご飯もしっかり食べているし、それでもいつも腹ぺこ状態。ジャグリングでダイエットは可能だと思う。心拍数が100を超える運動を毎日30分以上続けるんだから、効果もあるだろう。
Sean McKinneyのフリースタイルの
3ボールの演技に感動。すごいテクニックと表現力だ。触発されて、久しぶりに3ボールを練習。何か新しい技を覚えようと思って、「ロボット」の動きを研究。うまくやるととてもコミカルなムーブで、工場の中で動き続けるコンベアーか何かの上を、ボールが移動するような不思議な印象になる。人前でやると大変ウケる動きだそうで、表情を含めた演技力がモノを言うような技。ずっと以前に試したときには、どうもタイミングがつかめず、すぐにあきらめてしまったものだけど、今日久しぶりに試してみたら、あまりにもあっさりできて、自分でも驚き。まだ2サイクルぐらいで落としてしまうけど、すぐに完成しそうな予感。ジャグリングは、やっぱり個別ではなく全体的に上達するものらしい。
そういえば、ペンデュラムで振り子になるボールの動きを倍速にして、実質的にキャリーと似たような動きにするという名前のない(?)技が急にできるようになった。「自由の女神」をリバースにしたような動き。この動きを徐々にキャリーに変化させられないだろうか。
「チョップ」を少し研究。うーん、やっぱりよくわからない。人によって若干違うことをやっているように思えるんだけどなぁ。片側だけのチョップを繰り返し練習してみるものの、それが左右でどうつながるのか、よくわからない。リズムは2拍子とはわかるんだけど……。
「シャッフル」を研究。シャッフルは動画でも実演でも見たことがないので、どういうのが正しいのかよくわからないけど、ひとまずJuggle Masterの動きを見たままに真似てみる。1サイクルは思ったよりも簡単にできたけど、それを連続でやるのがうまくいかない。何度か繰り返し練習しているうちに、この技がシャッフルと呼ばれる理由がわかってきた。確かに、トランプのカードを切っているような動きだ。今日は2連続しかできなかったけど、動きは理解したので、徐々に練習してみよう。
「ボックス」で垂直にあがるボールの軌道を上下反転した逆ボックスとでも言うべきムーブをちょっと研究してみた。うまく行けば、軌道がΠのような形になる。ボックスで上に投げるセルフスローを、すべてクローキャッチにする。ボールを引き上げつつ手を開き、手のひらを内側に向ける。その手のひらめがけて反対の手からフィードする。フィードされたボールを、すぐさま同じ方向に投げ返して、投げ返すときに手のひらを下に向ける。で、クローキャッチ。フィードされ、フィードしかえすボールの下で、クローすべきボールがふわっと浮いているような印象になる。これには技の名前があるんだろうか。ボックスの動きよりもリズムが速くて難しいけど、右手でしばらく動きを練習してみたら、だんだんできそうな気がしてきた。
「ファステストジャグリング」「ピアノ」あたりを目指して、片手2個のカラムスの動きをクローキャッチで練習してみた。左手はぶれまくって難しいけど、2キャッチしかできなかったものが、少しの練習で10キャッチを超えられるようになった。やっぱり新しいことはやってみるものだ。右手のほうも5、6キャッチだったものが20キャッチを超えた。ピアノはチョップの動きだそうだから、チョップのリズムができるようにならないと話にならないけど、ファステストジャグリングのほうは、案外なんとなかなってしまいそうな気がしなくもない。
まだまだやってみたい技が、3ボールだけでも山のようにある。困った。楽しすぎるぞ。